自由診療 著者:岸本 隼人(きしもと眼科 院長)
結論
霰粒腫(さんりゅうしゅ)に対するIPL(強力パルス光)治療は、温罨法や点眼などで改善しにくい霰粒腫・繰り返す霰粒腫の選択肢として、当院で自由診療(1回7,700円・検査料込み、税込)にてご提供しています。ただし、効果を裏づける研究は小規模なものが中心で、標準治療(温罨法・ステロイド注射・摘出手術)に取って代わるものではありません。メリットと限界を理解したうえでご検討ください。
🔍 霰粒腫とは?
まぶたの縁にあるマイボーム腺(涙の油分を出す腺)の出口が詰まり、中にたまった分泌物が周囲に炎症(肉芽腫)を起こして、まぶたにしこりができる病気です。細菌感染による「ものもらい(麦粒腫)」と違い、多くは痛みが少なく、数週間〜数か月かけてゆっくり硬いしこりになります。

症状や「ものもらい」との違い、基本的な治療については、こちらの記事で詳しく解説しています。
「まぶたが腫れる」ときに考えられる病気や受診の目安は、症状ページ「まぶたが腫れる」もご覧ください。
💡 IPL治療とは?霰粒腫にどう働くの?
IPL(Intense Pulsed Light:強力パルス光)は、特定の波長の光をまぶた周囲の皮膚に当てる治療です。当院ではドライアイ(マイボーム腺機能不全)の治療に、M22(ルミナス社)を用いたIPLを行っています。
光のエネルギーによって、次のような作用が期待されています。
- まぶたの血管の異常な拡張(毛細血管拡張)を抑え、炎症を鎮める
- 温熱作用でマイボーム腺内の固まった油分を溶けやすくする
- マイボーム腺周囲の炎症や、まつ毛・まぶたのニキビダニ(デモデックス)の減少
つまり、しこりそのものを「切る」治療ではなく、霰粒腫ができやすいまぶたの環境を整えることで、改善や再発予防を狙う治療です。
📊 どのくらい効果があるの?(研究の現状)
霰粒腫に対するIPLは、近年報告が増えている新しい分野です。代表的な報告をご紹介します。
⚠ 知っておいていただきたいこと
これらはいずれも症例数の少ない研究で、使用機器や照射条件もそれぞれ異なります(当院の機器での成績ではありません)。IPLが霰粒腫に確実に効く、あるいは手術より優れる、とまでは言えないのが現状です。嚢胞状の大きなしこり、長期間変わらない硬いしこりには効果が限られる可能性があります。
👤 どんな方に向いている?
霰粒腫の治療には、温罨法・ステロイド注射・IPLなどの選択肢があります。状態やご希望に合わせて、診察のうえ一緒に選びます。

なお、高齢の方で再発を繰り返すしこりは、まれに悪性腫瘍(脂腺癌など)との鑑別が必要になります。しこりの性状によっては、IPLより先に切除と病理検査をおすすめすることがあります。
🩺 治療の流れ

- 診察:しこりの状態を確認し、IPLが適しているか判断します。
- 洗顔・メイク落とし:メイクは落としていただきます。
- 目の保護:専用のアイシールド(保護具)で目を守ります。
- ジェル塗布と照射:ジェルを塗り、目の周囲(こめかみ・頬・鼻など)に光を当てます。輪ゴムで軽くはじかれるような刺激を感じることがあります。
- 終了後:日焼け止めを使用し、当日の激しい運動・飲酒・長時間の入浴はお控えください。
通常、2〜4週間隔で経過を見ながら、効果と必要性を判断して回数を決めます。
⚠ 副作用・リスク
- 一時的な赤み・ほてり(多くは数時間〜翌日までに軽快)
- まれにやけど、色素沈着(シミ)、色素脱失
- 効果が不十分な場合は、ステロイド注射や摘出手術が必要になることがあります
- 治療中に細菌感染を起こして腫れた場合は、いったん中止し抗菌薬で治療します
💴 費用
1回 7,700円(自由診療・税込)
診察料・検査料込み
※保険適用外です。自由診療のため、同じ病気に対する保険診療との併用(混合診療)はできません。
ドライアイ(マイボーム腺機能不全)に対するIPL治療の料金はこちらをご覧ください。
❓ よくあるご質問
Q. 1回で治りますか?
1回で消えることもありますが、複数回の照射が必要な場合が多いです。しこりの状態によっては、効果が乏しいこともあります。
Q. 痛みはありますか?
輪ゴムではじかれるような軽い刺激を感じる程度で、麻酔は通常不要です。強さは調整できます。
Q. 再発は防げますか?
マイボーム腺の状態を整えることで再発しにくくなる可能性はありますが、再発しないという保証はありません。温罨法やまぶたの清潔など日々のケアも大切です。
Q. 保険診療の治療と併用できますか?
自由診療のIPLと保険診療を同じ病気で併用することはできません(混合診療の禁止)。どの治療が適しているか、診察時にご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個々の診断・治療に代わるものではありません。霰粒腫に対するIPL治療は、国内では標準的な保険診療として確立されたものではなく、自由診療として実施しています。効果には個人差があり、結果を保証するものではありません。
監修:岸本 隼人(きしもと眼科 院長)医師紹介

