結膜炎・感染症 著者:岸本 隼人(日本眼科学会認定 眼科専門医・きしもと眼科 院長)
こんにちは、神戸市東灘区のきしもと眼科・院長の岸本です。「目が真っ赤で、目やにが多い」というご相談をよく受けます。「はやり目と言われた。学校や仕事は、いつから行けるのか」という質問も多くいただきます。流行性角結膜炎(はやり目)について、うつる期間、登校・出勤の目安、治療、家庭での予防をまとめました。
この記事の結論
流行性角結膜炎は、アデノウイルスによる、うつりやすい結膜炎です。感染してから症状が出るまでは、ふつう1〜2週間かかります。うつる期間は、目やにや充血が消えるまでの、1週間〜10日ほどが目安です(日本眼科学会の資料)。症状がなくなったことは、眼科で確認します。
学校は、医師が「感染のおそれがない」と判断するまで出席停止です。仕事には、学校のような一律の決まりはありません。日本眼科学会の資料では、職場の人にうつすおそれがあるため、休むことが望ましいとされています。職場の決まりに従い、医師にも相談してください。
ウイルスに効く薬はなく、症状をやわらげる治療(対症療法)になります。家族にうつさないために、手洗いとタオルの別使用が大切です。
🔍 流行性角結膜炎(はやり目)とは?
流行性角結膜炎は、アデノウイルスというウイルスが、結膜(白目とまぶたの裏をおおう膜)と角膜(黒目の表面)に感染して起こる病気です。「はやり目」とも呼ばれます。感染力が強く、子どもから大人まで、どの年齢でも発症します。
ウイルスは、涙や目やにに含まれます。それが手、タオル、検査器具などにつき、別の人の目に入ることでうつります。ウイルスがついた手や物を介してうつることを、接触感染といいます。家庭、学校、職場、病院など、人が近くで過ごす場所で広がりやすい病気です。

👁 症状とチェックポイント
次のような症状が、よくみられます。片方の目から始まり、数日のうちに、もう片方の目にも出ることがあります。
- 白目の強い充血:目が真っ赤になります。
- 水っぽい目やに・涙:朝、目が開けにくいこともあります。
- まぶたの腫れ:まぶたがむくみ、ゴロゴロした感じが出ます。
- 耳の前のしこり(リンパ節の腫れ):耳の前を押すと、痛みを感じることがあります。
- 視力の低下・まぶしさ:角膜に炎症が及んだときに出ます。

症状が落ち着くまでの期間には、個人差があります。角膜に炎症が出ると、数週間かかることもあります。さらに、角膜の濁りが長く残り、見えにくさやまぶしさが続くことがあります。
⏳ はやり目はいつまでうつる?
- 潜伏期間:ウイルスに触れてから発症するまでは、国立健康危機管理研究機構の情報では、8〜14日です。「1〜2週間」と書かれた資料も多くあります。その間は、症状がありません。
- うつる期間:日本眼科学会の資料では、目やにや充血が消えるまでの1週間〜10日ほどは、他の人にうつる可能性があるとされています。実際の期間には、個人差があります。
症状が出る前に気づくのは難しいため、家族に症状が出たら、早めに対策をしてください。「治ったように見える」時期でも、自己判断で、人との接触を元に戻さないでください。
治ったかどうかの目安のひとつは、強い充血、目やに、涙がおさまっていることです。ただし、角膜の状態は、診察で確認しないと分かりません。
🏫 はやり目の登校はいつから?
流行性角結膜炎は、学校保健安全法で定められた「学校感染症(第三種)」のひとつです。「出席停止」とは、学校が「登校してはいけない」と定める期間のことです。文部科学省の資料では、「病状により学校医その他の医師において伝染のおそれがないと認めるまで」とされています。つまり、医師が「うつるおそれがない」と認めるまで、休みます。
- 日数は決まっていません:「何日休む」という決まりはありません。症状の強さや経過を診て、医師が判断します。
- 目安:日数の決まりはありませんが、日本眼科学会の資料には、目やにや充血が消えるまでの1週間〜10日ほどは、他の人にうつる可能性があるため、登校・登園は避けるとあります。症状がなくなったことを眼科で確認してから、行くようにします。最終的な判断は、診察で、医師が行います。
- 登校の許可:治ったかどうかは、眼科で診察を受けて確認します。
- 書類:登校許可証や診断書の書式は、学校や自治体で違います。事前に、学校へ確認してください。
- きょうだい:同居のきょうだいの扱いは、学校の決まりによります。学校へ相談してください。
- 幼稚園:学校と同じ基準です。
- 保育園:法律上の出席停止ではなく、園ごとに登園の目安があります。国の保育所向けの指針でも、医師の判断が前提です。園へ確認してください。
💼 はやり目で仕事はいつまで休む?
日本眼科学会の資料では、職場の人にうつす可能性が十分にあるため、本来は仕事を休むのがよいとされています。会社などで働く方には、学校のような一律の出席停止の決まりは、一般にありません。職場の就業規則(会社のきまり)や、産業医(会社と契約している医師)の指示に従います。
- 目やにが減っても注意:目やにが減ると「もう大丈夫」と思いがちです。完全になくなるまでは、うつる可能性があります。自己判断せず、診察で確認します。
- まず職場に連絡:はやり目と診断された、または疑われるときは、出勤の前に職場へ伝えてください。
- 医師に相談:「いつから出勤してよいか」を診察で聞いてください。診断書が必要な職場もあります。
- 接客・飲食・医療の仕事:日本眼科学会の資料では、接客業や飲食業は、特に注意が必要とされています。医療従事者は、目やにと涙が止まり、充血と腫れが完全に消えるまでの1〜2週間は、就業を禁止するべきとされています。職場の決まりを確認してください。
| 学校 | 仕事 | |
|---|---|---|
| 決まり | 学校保健安全法(第三種) | 一律の決まりはなし(職場の規定) |
| 基準 | 医師が感染のおそれがないと認めるまで | 職場の規定・産業医・医師の助言 |
| 確認先 | 眼科の医師・学校 | 眼科の医師・職場 |
💊 治療
流行性角結膜炎に、ウイルスそのものを抑える特効薬はありません。症状をやわらげ、角膜への影響を減らすための対症療法が中心です。
- 炎症を抑える点眼:充血や炎症をやわらげます。
- ステロイド点眼(炎症をしずめる薬の目薬):角膜に炎症や濁りがあるときに、医師の判断で使うことがあります。自己判断では使えません。症状が軽くなっても、自己判断で続けたり、回数を増やしたりしないでください。
- 抗菌薬の点眼(細菌をおさえる薬の目薬):抗菌薬は、ウイルスには効きません。細菌の合併が疑われるときに、医師の判断で使います。
⚠ 市販の目薬や、ほかの人の目薬は使わないでください
ウイルスを直接おさえる市販の目薬は、一般にありません。医師の指示がない目薬は、使わないでください。
ほかの家族の目薬を共用すると、ウイルスが広がる原因になります。目薬は、本人だけが使ってください。
目薬のさし方は、こちらの記事も参考にしてください。
🩺 眼科の診察で行うこと
- 目の観察:細隙灯顕微鏡(目を拡大して見る顕微鏡)で、結膜(白目)の充血や腫れと、角膜(黒目)の濁りがないかを調べます。
- ほかの結膜炎との区別:症状や経過から、細菌性やアレルギー性との違いを判断します。
- 検査:必要に応じて、アデノウイルスかどうかを調べる検査があります。検査を行うかどうかは、医療機関や症状によって異なります。
- 点眼薬の選択:炎症や角膜の状態に合わせて、使う点眼薬を決めます。
- 治ったかの確認:登校・出勤の時期は、診察で目の状態を確認して、相談します。
🧼 家庭でできる感染予防
家族にうつさないために、次のことを心がけてください。
- 手洗い:目やにや涙にふれたあとは、石けんと流水で、ていねいに洗います。
- タオルを分ける:顔や手をふくタオルは、専用にします。ペーパータオルが使えると、より衛生的です。
- 手がふれる所をふく:ドアノブ、リモコン、洗面所の蛇口など、家族がさわる所は、こまめにふきます。使ったタオルは、洗濯します。
- お孫さんなどの看病のあと:看病のあとは、石けんと流水で、手をていねいに洗います。目に赤みが出たら、早めに受診してください。
- 目をこすらない:こすった手で、物にふれないようにします。
- 目薬を共用しない:家族の目薬を、お互いに使わないでください。点眼するときは、容器の先がまぶたやまつげにふれないようにします。
- 目やにの取り方:ティッシュで、そっとふき取ります。固まっているときは、ぬるま湯でぬらすと取りやすくなります。使ったティッシュは、その都度捨てて、手を洗います。

⚠ 早めに受診してほしいとき
目が赤くなり、目やにや涙が急に増えたときは、はやり目かもしれません。早めに眼科を受診してください。見た目では、ほかの結膜炎との区別が難しく、角膜の状態も診察で確認する必要があるためです。
⚠ 特に急ぐ症状
・目の痛み、まぶしさ、見えにくさが強い
・乳幼児で、目を開けられない、機嫌が悪い、熱が出る
・症状が長引き、なかなかよくならない
受診するときは、「はやり目かもしれない」と伝えてください。ほかの患者さんにうつすのを防ぐことにつながります。
🔬 ほかの結膜炎との違い
結膜炎には、原因によって種類があります。見た目だけでは区別が難しいことがあり、診察で判断します。
| 種類 | よくみられる症状 | うつるか |
|---|---|---|
| ウイルス性(はやり目など) | 強い充血、水っぽい目やに、涙 | うつる |
| 細菌性 | 黄色や緑色の目やに | うつることがある |
| アレルギー性 | 強いかゆみ、透明な目やに | うつらない |
プール熱(咽頭結膜熱)も、同じアデノウイルスによる病気です。結膜炎に加えて、発熱やのどの痛みがみられるのが特徴です。第二種の学校感染症で、主要症状が消えたあと2日を経過するまでが、出席停止の基準です。はやり目とは異なります。
❓ よくあるご質問
Q. 何日くらいで治りますか?
多くは1〜2週間ほどで落ち着くとされています。ただし、人によって違います。角膜に炎症が出ると、さらに長引くことがあります。治ったかどうかは、診察で確認します。
Q. 片方の目だけでも、うつりますか?
はい。片方の目から、もう一方の目にうつることがあります。目をこすらず、手洗いを続けてください。
Q. プールは、いつから入れますか?
結膜炎が完全に治るまでは、プールを控えます。目やにや充血がなくなり、眼科で治ったと確認されてから、再開の時期を医師に確認してください。学校のプールは、学校の決まりにも従います。
Q. コンタクトレンズは使えますか?
症状がある間は、使用をやめて、眼鏡で過ごしてください。再開の時期は、診察で相談してください。
Q. 家族がかかったら、どうすればよいですか?
家族の症状がおさまるまでは、手洗いとタオルの別使用を続けてください。ふいたティッシュはすぐ捨て、顔をふくタオルや枕カバーは、洗濯して清潔なものに替えます。目に赤みや目やにが出たら、早めに受診してください。
🩺 目の赤みや目やにが気になる方へ
充血や目やにの原因は、はやり目のほかにも、さまざまあります。原因によって対応が変わるため、気になるときは眼科でご相談ください。診療時間や予約方法は、下のボタンからご確認ください。
参考資料:東京都 感染症情報センター 流行性角結膜炎、神奈川県衛生研究所 ウイルス性結膜炎、大阪大学医学部附属病院 感染対策マニュアル、国立健康危機管理研究機構 流行性角結膜炎、日本眼科学会 ウイルス性結膜炎の説明事項、文部科学省 出席停止の期間の基準。最終更新:2026年11月6日
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個々の診断・治療に代わるものではありません。登校・出勤の可否や時期は、診察のうえ医師が判断し、学校・職場の決まりにも従ってください。
監修:岸本 隼人(日本眼科学会認定 眼科専門医・きしもと眼科 院長)医師紹介

