視力矯正手術を検討する際、多くの人が「ICLとレーシックはどちらが自分に合っているのだろう?」と悩みます。どちらも裸眼での生活を叶える代表的な治療法ですが、仕組みや適応条件、術後の見え方や費用などには違いがあります。
この記事では、ICLとレーシックそれぞれの特徴を分かりやすく整理し、メリット・デメリットを比較解説します。実績が豊富なクリニックもご紹介していますので、自分に合った治療法やクリニックを選ぶための参考にしてください。
ICL(眼内コンタクトレンズ)とは
ICL(Implantable Collamer Lens)は眼内コンタクトレンズのことです。角膜を削らずに、目の中にレンズを挿入して、視力を矯正する手術です。角膜を削らないため、角膜が薄い方や近視が強い方に適しています。
ICLのメリット
では、ICLのメリットには、どのようなものがあるでしょうか。ICLのメリットは次のようなものが挙げられます。
- 視力回復率が高く、視力が安定する
- 角膜を削らないため、ドライアイのリスクが低い
- 強度の近視にも対応できる
- 術後の回復が早く、日常生活にスムーズに戻れる
- 白内障手術を受ける際もレンズを取り除いて対応できる
ICLは視力の回復率が高い手術です。JSCRSの調査発表によると、94%の患者が、術後の裸眼の視力で1.0以上を達成しています。また、術後の近視や乱視などの度数の変動がほとんどなく、視力が安定しやすいのが特徴です。
そして、ICLの特徴は角膜を削らないことです。レーシックでは角膜を削り、形状を変えて矯正する手術です。これに対し、ICLでは角膜ではなく、さらに奥にある水晶体と光彩の間にレンズを挿入します。角膜を削らないため、角膜表面への影響が少なく、ドライアイが起きにくいとされています。
また、ICLでは強度の近視や乱視にも対応できます。レーシックの近視の矯正範囲は-6.00Dまでが理想とされていますが、ICLの近視の矯正範囲は-3.00Dから-18.00Dまでと非常に広いです。
ICLでは手術翌日から視力の回復を実感できますが、レンズが完全に定着するまでは1ヶ月程度かかるとされています。また、手術翌日の検診を受けると、すぐに日常生活に戻れますし、仕事にも復帰可能です。
ICLのデメリット
次に、ICLのデメリットについても確認しましょう。ICLのデメリットは以下の通りです。
- 保険適用外のため、手術費用が高額
- 眼内手術のため、感染症や炎症のリスクがある
- 術後にハロー・グレア現象が発生する可能性がある
- 術後1週間程度、充血や炎症が残る可能性がある
- 術後1週間は1日4回の点眼が必要
- レンズの準備に1ヶ月以上時間がかかる
まず、ICLは公的医療保険の適用外のため、治療費は全て自己負担です。
ICLの相場は両眼で40~80万円程度と言われており、乱視がある場合、さらに10万円程度上乗せになります。ただ、医療費控除の対象になるため、確定申告をすれば、還付金が少し戻ってきます。ICLを受けたら領収書を保管しておき、忘れずに確定申告をしましょう。
術後にはハロー・グレアという現象が起こる可能性があります。ハロー・グレア現象のハローとは、光源の周囲に輪がかかったように見える現象を指します。また、グレアは光源がぎらぎらとまぶしく感じられる現象です。
これら2つの症状が認められると、夜間の視覚が遮られるため、車の運転は危険です。しかし、夜間の運転がどうしても必要な場合は、夜間専用の眼鏡や遮光眼鏡を使用すれば問題ありません。
また、術後1週間程度は充血や炎症が残る可能性があるため、この期間には点眼が欠かせません。術後1ヶ月程度は感染症予防や炎症抑制、回復促進のために、3種類程度の点眼液を1日4回使用する必要があります。手術をしたのですから、術後のケアは仕方がありません。
レーシックとは
レーシックは特殊なレーザーで角膜を削り、視力を矯正する手術です。ある程度角膜に厚みがある方や、軽度から中等度の近視の方に適しています。
レーシックのメリット
まず、レーシックのメリットについて解説します。レーシックのメリットは以下の通りです。
- 眼鏡やコンタクトレンズが必要なくなる
- 手術時間が数分で終了
- 術後の回復が早い
- 視力回復のための手術の中では、比較的手術費用が安い
レーシックは視力を矯正して、視力を回復させる手術です。
手術時間は数分~10分程度。手術前の準備や術後の診察を含めても、来院から帰宅までは長くて3時間程度です。手術は日帰りで、入院の必要はありません。
日本眼科医会の研究報告によると、90.8%の患者が裸眼視力1.0を達成しています。手術直後から視力の回復に期待でき、基本的には翌日から日常生活や仕事に戻るのも可能とされています。
レーシックは他の視力矯正手術と比較すると手術費用は安価で、ICLの半額程度の20~40万円程度が相場です。ただし、手術で用いる機器や追加オプションによって追加料金が発生する可能性があります。また、目の状態によってはICLが適していることもあるため、医師の意見や予算などで判断しましょう。
レーシックのデメリット
次に、レーシックのデメリットについてみてみましょう。
- 一度角膜を削ると、元には戻らない
- 術後にドライアイ症状が現れる可能性がある
- ハロー・グレア現象が起こる可能性がある
- 術後に近視が戻る可能性がある
- 眼内手術のため、感染症や炎症を起こすリスクがある
- コントラスト感度が低下する可能性がある
- 眼圧が手術前よりも低下する
元には戻せない
レーシックは角膜を削って、視力を矯正する手術です。角膜を一度削ると、元に戻せません。
ただし、ガイドラインで一定の角膜厚を残すよう定められているため、削り過ぎることはありません。また、角膜を必要以上に削らない技術が次々と開発されており、安全性は向上しています。
ドライアイやハロー・グレア現象などのリスク
レーシックでは一部の神経を遮断して角膜を削るため、涙の分泌量が減少し、ドライアイを引き起こしやすくなります。1.2%の割合でドライアイのリスクがあるとされていますが、数ヶ月で改善するケースが多いようです。
ICLと同様、ハロー・グレア現象が起こる可能性があります。ただし、最近ではハロー・グレア現象を軽減させる技術や機器が開発されています。夜間の運転や作業をする方にとっては優良な選択肢といえるでしょう。
感染症や炎症のリスク
また、レーシックもICLと同様、感染症や炎症を起こすリスクがあります。リスクを抑えるために、術前から術後の点眼が非常に大事です。1日4回の点眼は大変ですが、感染症予防のため、術後のケアを徹底しましょう。
コントラスト感度の低下リスク
レーシックを受けると、明暗を区別する能力(コントラスト感度)が低下する可能性があります。例えば、夜間の運転の際、歩行者が見えにくくなる、あるいは読書など目を使う作業で眼が疲れやすくなるなどの症状です。
ただ、コントラスト感度の低下を最小限に抑えられる機器が開発されています。さらに、術後のケアとして、特殊な眼鏡を使用してコントラスト感度を改善させるのも対策の一つです。
ICLとレーシックの違い
ICLとレーシックの違いはどのような点にあるのでしょうか。それぞれを比較した表を下に示します。
レーシック | ICL | |
---|---|---|
費用目安 | 約15万~30万円 | 約40万~80万円 |
適応範囲 | 中程度までの近視・乱視 | 中等度~強度の近視・遠視・乱視 |
術後の見え方 | 良く見える | クリアで鮮やか |
手術方法 | 角膜を削って屈折異常を治療する | 眼内コンタクトレンズを挿入する |
手術時間 | 10~15分 | 15~20分 |
可逆性 (元に戻せるか) |
不可能 | 可能 |
ドライアイ | 発症するリスクあり | 起こりにくい |
費用
費用の相場は、ICLは両眼で40~80万円と高額なのに対し、レーシックは15~30万円と比較的安価です。ICLが高額となる理由は以下の通りです。
- レーシックよりも高度な技術が必要であるため
- レンズは患者一人一人のオーダーメイドであるため
- 使用するレンズの種類や品質
- 保証内容による(検診期間が長期、レンズの入れ替えの可否など)
ICLは眼内にレンズを挿入するという精密さが求められる手術です。レーシックよりも高い専門性と技術力が必要であり、医師の技術料が高く設定されています。
また、レンズは個々の患者で異なるため、それぞれに適したレンズの準備が必要です。レンズ自体が非常に高額で、種類や品質によって費用がさらに高くなる可能性もあります。
ICLの保証内容が充実しているため、費用が高額になりやすいともいえるでしょう。ICLの無料保証期間は3年間が一般的です。無料の保証期間内にはレンズ交換や位置の調整も可能です。
これに対し、レーシックは1年間に設定しているクリニックが多く、それ以上の保証期間を受けたい場合は追加費用が発生します。
適応範囲
レーシックでは、軽度から中等度の近視・遠視・乱視が適応です。しかし、強度の近視や乱視の場合はICLがすすめられます。
近視の適応範囲は、レーシックは-1.00Dから-10.00Dですが、日本眼科学会のガイドラインでは原則-6.00Dまでです。これに対し、ICLは-3.00Dから-18.00Dまでと広範囲に適応しています。また、遠視の適応範囲について、レーシックは最大5.0Dまでですが、ICLは0.5Dから6.0Dまでです。
術後の見え方
ICLの術後の見え方はクリアで、質の高い視界を得られます。特に、暗い場所や夜間でも視力が安定しているのが特徴です。レーシックでは、ほとんどの患者が視力1.0以上を達成しています。
元に戻せるか
ICLはレンズを挿入しているため、必要に応じてレンズを取り除けます。これに対し、レーシックでは角膜を削るため、元に戻すような施術もなく、自然と戻る可能性もありません。
手術時間
両眼の手術時間は、ICLで15~20分程度、レーシックで10~15分程度です。レーシックは短時間で行えるため、時間的な負担が少ないのがメリットです。ICLは眼内にレンズを挿入する手術であるため、レーシックより長くなる傾向があります。
レーシックとICLはどっちがいい?自分に合った選び方
レーシックかICLかは手術前の検査や医師の判断によります。それぞれに向いている人について解説します。
レーシックが向いている人
- 費用を抑えて視力回復をしたい人
- 軽度から中等度の近視の人、角膜に厚さがある人
- ダウンタイムが少ないほうがいい人
- 早めに仕事に復帰したい人
まず、費用を抑えたい人にはレーシックがおすすめです。レーシックはICLの費用のおよそ半分程度で受けられます。軽度から中等度の近視で、角膜に十分に厚さがある人は費用を抑えられるレーシック向きです。
また、レーシックは術後の視力回復が早いため、ダウンタイム(術後に日常生活に復帰するまでの回復期間)が少ない方がいい、という方に向いています。手術を受けて早く日常生活に戻りたい、すぐに仕事に復帰したいという方はレーシックが向いているでしょう。
ICLが向いている人
- 強度近視や乱視がある人
- レーシックが適用外の人
- 角膜の厚さが薄い人
- よりクリアで鮮やかな見え方にこだわりたい人
- 元に戻せる手術を希望する人
- 紫外線カットを求める人
まず、強度の近視や乱視がある人は医師からICLをすすめられるでしょう。特に、レーシックの適用範囲外である-6.0D以上の近視の場合はICLに適しています。また、角膜の厚さが薄い人は、角膜を削るレーシックよりも角膜を削らないICLが適用です。
見え方の質を重視する人もICLが向いています。ICLの術後はよりクリアで鮮やかな見え方を得られます。夜間の見え方も比較的クリアです。一部の患者でハロー・グレア現象を感じる人もいますが、多くの場合、時間経過と共に改善します。
また、ICLはレンズを外せば元に戻せます。将来、白内障や緑内障などの治療を行う場合はレンズを取り出して治療するのも可能です。元の状態に戻せるという安心感を得たい人はICLを選ぶといいでしょう。
そして、ICLで用いるレンズは紫外線カット機能が標準装備されています。90%以上の紫外線をカットできる素材を用いているため、紫外線による目への影響が気になる人にはICLが向いています。
ICL・レーシック治療がおすすめのクリニック3選
ICLとレーシック治療ができるおすすめのクリニックについて、3つご紹介します。
ICLの料金が相場以内に収まっていること、Google口コミでの評価が高いこと、アフターケアが充実していること、治療実績が豊富にあることなどを基準として、おすすめしたいクリニックをピックアップしました。
先進会眼科
費用 | レーシック手術:22万円~ ICL:42.7万円~ |
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手術実績 | ICL手術・治療:27,000症例以上 |
保証期間・術後検診 | ICL保証期間:3年 術後検診:翌日、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後 |
所在地 | 東京院:東京都新宿区西新宿6-5-1 新宿アイランドタワー35F 名古屋院:愛知県名古屋市中区錦3-16-27 栄パークサイドプレイス4階 大阪院:大阪府大阪市北区梅田1丁目13-1 大阪梅田ツインタワーズ・サウス13F 福岡院:福岡県福岡市中央区天神2-8-38 協和ビル10F 飯塚本院:福岡県飯塚市川津371 |
先進会眼科は、レーシックとICLにおいて豊富な実績を誇る視力矯正専門クリニックです。ICLは2002年の開院以来、累計27,000件を超える症例を手掛けており、医師や医療従事者からも選ばれるほど信頼度が高いのが特徴です。
費用はレーシックで両眼22万円から、ICLは近視度数や乱視の有無によって変動し、標準的なプランで両眼42.7万円(税込)となっています。
術前検査からアフターケアまで料金に含まれており、分割払いにも対応。最新のレーザー機器を導入し、患者一人ひとりに合わせた治療を提供することで、安全性と満足度の高い視力回復を実現しています。
アイクリニック東京
費用 | 【エキスパートプラン】 乱視あり:83万円 乱視なし:73万円 【スペシャリストプラン】 乱視あり:68万円 乱視なし:58万円 |
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手術実績 | ICL実績:30,368件 |
保証期間・術後検診 | 保証期間(エキスパートプラン):3年 保証期間(スペシャリストプラン):1年 術後検診:翌日、1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後、1年後 |
所在地 | サピアタワー院:千代田区丸の内1丁目7番12号 サピアタワー 7階 丸の内トラストタワー院:千代田区丸の内1丁目8番1号 丸の内トラストタワーN館2階 |
アイクリニック東京はICLの世界的名医として知られる北島医師が経営するクリニックです。北島医師の他にも実績や経験豊富なICL認定医が2名在籍しています。
また、アイクリニック東京は長期間の保証と充実した保証内容が特徴です。執刀医によって保証期間は異なりますが、最長3年間です。保証期間内であれば、視力検査や眼圧検査などの術後検診が無料で受けられます。もし、レンズが合わない場合、保証期間内であればレンズの入れ替えを1回無料で行えます。
アイクリニック東京のそのほかの特徴として、執刀医を無料で指名できるシステムを採用しています。執刀医のキャリアや実績が公開されており、これらの情報を元に医師を指名できるシステムです。アイクリニック東京は信頼できる医師から安心して手術を受けたいという方におすすめのクリニックです。
品川近視クリニック
費用 | レーシック手術:7.5万円~ ICL(眼内コンタクトレンズ):42.7万円~ フェイキックIOL:59万円 |
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手術実績 | レーシック:137万件以上 ICL:10万件以上 |
保証期間・術後検診 | 保証期間:3年 術後検診:翌日、1週間後、1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後、1年後 |
所在地 | 東京院:東京都千代田区有楽町2-7-1 有楽町イトシア13F 札幌院:北海道札幌市中央区北4条西5-1 アスティ45ビル2F 名古屋院:愛知県名古屋市中村区名駅5-7-30 名駅東ビル3F 梅田院:大阪府大阪市北区梅田2-6-20 パシフィックマークス西梅田3F 福岡院:福岡県福岡市中央区天神2-7-21 天神プライム4F |
品川近視クリニックは全国の主要都市に展開しているクリニックです。そして、レーシックやICLの症例数は国内最多を誇っています。豊富な実績と高い技術で信頼感を得ているのがわかります。
品川近視クリニックの特徴の一つが、1日レーシックというサービスです。通常、手術前に検査を受け、別日に手術を行います。この検査と手術を同日に行えるサービスが1日レーシックです。さらに、1日レーシックを選ぶと1万円の補助があります。
また、遠方在住の方にとってありがたいのが交通費補助です。各院の近くに在住する方は対象外ですが、さらに遠方の対象エリアの方には、片眼手術で5千円、両眼手術で1万円の補助が受けられます。以上より、品川近視クリニックは時間にあまり余裕がない方や地方在住で何度も通院できない方におすすめです。