これからの見え方を、
暮らしに合わせて選ぶ。
遠くの景色も、パソコンも、手元の文字も。白内障手術で選ぶ眼内レンズには、それぞれ得意な距離があります。きしもと眼科の現行5種類を、見え方と費用からわかりやすくご案内します。
まずは、単焦点と多焦点の違い。
「どちらが優れているか」ではなく、普段の生活で何を見やすくしたいかが選ぶ基準です。
単焦点眼内レンズ
主に一つの距離にピントを合わせます。遠くに合わせれば、読書やスマートフォンでは眼鏡が必要になることがあります。シンプルで安定した見え方が特徴です。
多焦点眼内レンズ
複数の距離を見やすくし、眼鏡を使う機会を減らすことを目指します。レンズごとに得意な距離や夜間の光の見え方が異なります。
1遠方|庭・景色2中間|パソコン3近方|本・手元遠方
3m以上
庭や景色・運転・テレビ
中間
約50cm〜1m
パソコン・料理・化粧
近方
約50cm以下
本・スマートフォン・裁縫
多焦点レンズでも眼鏡が必ず不要になるわけではありません。夜間の光がにじむ、まぶしく見えるなどの感じ方には個人差があります。目の病気や乱視の状態によっては適さない場合もあります。
現在取り扱う、5種類のレンズ。
遠くから手元まで広く使いたい方、夜の運転を重視したい方。まずは特徴を比べ、検査結果と合わせて選びます。
生活上の優先で、2つのグループに分けて比較します。
① 3焦点・連続焦点は、遠くから手元まで幅広く見たい方に向くタイプです。② 焦点深度拡張型〈EDOF〉は、遠く〜中間を中心に、夜間の光の見え方やコントラストも重視したい方に向くタイプです。
3焦点:パンオプティクス プロ/パンオプティクス
連続焦点:テクニス オデッセイ
向いている方
読書やスマートフォンまで、眼鏡を使う機会を減らしたい方。
知っておきたい点
3焦点は3つの距離に、連続焦点は距離のつながりを滑らかにする設計です。どちらも夜間に光の輪やにじみを感じる場合があります。
遠く〜中間を中心に見たい方へ
クラレオン ビビティ/テクニス ピュアシー
向いている方
運転やパソコン作業を中心に考え、夜間の光の見え方やコントラストも重視したい方。
知っておきたい点
細かな手元作業では、老眼鏡が必要になる場合があります。
○は得意な距離、△は眼鏡が必要になる場合がある距離の目安です。実際の見え方には個人差があります。
3焦点・連続焦点型 遠くから手元まで広く見たい方へ
パンオプティクス プロ
遠くも手元も、見え方の質まで重視



従来のパンオプティクスを発展させた3焦点レンズ。医院の記事では光ロスを12%から6%に改善した設計と紹介しています。幅広い距離で眼鏡への依存を減らしたい方の候補です。
このレンズを詳しく見る
設計と従来型との違い
遠方・約60cmの中間・約40cmの近方へ光を振り分ける回折型3焦点レンズです。ENLIGHTEN NXT光学技術で、従来のパンオプティクスと同じ3つの距離を保ちながら、光の散乱による損失を減らす設計です。メーカーの光学評価では光利用率94%、従来型88%とされています。これは設計上の数値で、視力がその割合だけ上がるという意味ではありません。
日常生活での使い方
外出時の景色・テレビ、机上のパソコン、手元のスマートフォンや読書と、距離を頻繁に切り替える方の候補です。眼鏡をかけ替える回数を減らしたいという希望に合います。ただし細かな文字や暗い場所では眼鏡が必要になる場合があります。
夜間の光と比較のポイント
従来型より光の利用効率を高めた設計ですが、3焦点レンズ特有のハロー・グレアがなくなるわけではありません。夜の運転が多い方は、手元の見え方を重視するか、光のにじみの少なさを優先するかを確認しましょう。従来型との価格差も含め、必要な見え方を相談して選びます。
術前に確認すること
乱視用もあります。角膜乱視、眼底・視神経の状態、瞳孔や生活習慣を確認し、希望に合うか判断します。
パンオプティクス
遠く・中間・近くをバランスよく



遠くの景色からパソコン、読書まで幅広い距離にピントを配分します。手元も含めて眼鏡を使う機会を減らしたい方の候補です。夜間のハロー・グレアを感じることがあります。
このレンズを詳しく見る
どの距離にピントを配分する?
回折型3焦点レンズです。遠くに加え、約60cmの中間、約40cmの手元を見やすくする設計です。60cmは机上のパソコンや料理、40cmは本やスマートフォンの距離の目安になります。実際に普段使っている距離を診察時にお伝えください。
日常生活での使い方
運転や散歩、パソコン、読書を一日の中で幅広く行う方の候補です。眼鏡を使う場面を減らせる可能性があります。一方、近くの小さな文字や薄暗い場所での作業は、眼鏡を使った方が楽な場合もあります。
プロとの違いと注意点
パンオプティクス プロと重視する3つの距離は共通しています。プロは光利用効率を改良した設計ですが、価格も異なります。どちらでも夜間のライトに輪が見えたり、まぶしさを感じたりする可能性があります。差額だけで判断せず、夜間運転の頻度や手元の優先度を合わせて比較します。
乱視がある場合
乱視用レンズの選択肢があります。角膜の乱視を測定し、使用するかを検討します。
テクニス オデッセイ
遠くから手元まで、連続した見え方



遠くから近くまで連続した範囲をカバーする設計です。自然な見え方や夜間の光の見え方を重視する方の候補になります。ハロー・グレアが起こらないことを保証するものではありません。
このレンズを詳しく見る
連続した見え方とは?
遠方から約40cmの近方まで、幅広い距離をつなぐ連続焦点型レンズです。Freeform技術を用いて光学部を最適化しています。ある1点だけが見えるという設計ではなく、テレビからパソコン、手元へと視線を移す生活を想定したレンズです。
どんな生活に合う?
遠くも手元も使い、距離の切り替わりを自然に感じたい方の候補です。メーカーは、術後にわずかな度数のずれが残った場合への耐性にも配慮した設計と説明しています。ただし度数のずれを完全に補うわけではなく、手術前の測定が大切です。
夜間運転と手元の注意点
ハロー・グレアの軽減を目指した設計ですが、感じないと保証するものではありません。夜間運転が多い場合は、運転時の見え方と手元の見え方のどちらを優先したいかお聞かせください。細かな文字や長時間の近方作業では、眼鏡が役立つこともあります。
乱視がある場合
乱視用もあり、角膜の状態を検査した上で適応を判断します。
焦点深度拡張型〈EDOF〉 遠く〜中間と夜間の光を重視したい方へ
クラレオン ビビティ
遠く〜中間と夜間の光の見え方を重視



波面制御技術で遠方から中間までの見え方を広げます。パソコンを使う方、ハロー・グレアが気になる方の候補です。細かい手元作業では眼鏡が必要になる場合があります。
このレンズを詳しく見る
波面制御型EDOFとは?
X-WAVEという波面制御技術を使い、光を複数の焦点に分けずに、ピントの合う範囲を遠方から中間へ広げる非回折型レンズです。遠くの見え方を土台に、パソコンなどの中間距離を見やすくする考え方です。
向いている生活場面
運転、テレビ、散歩、パソコンをよく使う方で、夜間の光のにじみを気にする方の候補です。手元まで強く重視する3焦点レンズとは優先順位が異なります。スマートフォンを短時間見ることはできても、小さな文字の読書や裁縫には老眼鏡が必要になる場合があります。
夜間の見え方と限界
ハロー・グレアを抑える設計ですが、まぶしさがゼロになるわけではありません。白内障以外に目の病気がある場合も一律に適応とは言えず、病状と期待できる見え方を個別に確認します。
ピュアシーとの比較
どちらも非回折型EDOFですが、焦点を広げる光学技術が異なります。近方で何をしたいか、夜間運転の頻度、検査結果から選びます。乱視用もあります。
テクニス ピュアシー
遠く〜中間、自然な見え方を重視



非回折型の設計で焦点深度を広げます。遠くから中間を中心に、日常で必要な近方も見やすくすることを目指します。細かな読書などでは眼鏡が必要になる場合があります。
このレンズを詳しく見る
非回折型EDOFの仕組み
OptiCurve技術によりレンズの度数を連続的に変化させ、遠方から中間、日常の一部の近方まで焦点深度を広げる設計です。光を複数の焦点に分ける回折型とは異なり、コントラストや夜間の光の見え方に配慮しています。
日常生活で期待する距離
遠くの景色、テレビ、パソコンを重視しながら、スマートフォンなど日常の手元もある程度見たい方の候補です。ただし文字の大きさや照明に左右されます。小さな活字を長く読む、細かな手芸をするといった場面では、老眼鏡が必要な場合があります。
夜間の見え方と比較のポイント
単焦点に近い夜間光視症プロファイルを目指す設計ですが、すべての方が同じ見え方になるわけではありません。ビビティと同じEDOFの分類でも光学設計は異なります。遠方・中間・近方のどこを優先するかを具体的に伺います。
乱視がある場合
乱視用もあります。角膜乱視などを測定し、術後に残る度数も考慮して検討します。
各価格は税込・片眼の選定療養によるレンズ差額。別途、保険診療分の手術費用がかかります。乱視用の適応は術前検査で判断します。距離や症状の感じ方には個人差があります。
選ぶときに、考えたい3つのこと。
一番見たい距離
読書やスマートフォンが多いか、パソコンが中心か。日常の場面を具体的にお聞かせください。
夜間の過ごし方
夜の運転や暗い場所での活動が多い方は、ハロー・グレアの説明を十分に受けて選ぶことが大切です。
目の状態
乱視、網膜、視神経などを検査します。希望するレンズが適さない場合は別の選択肢をご説明します。



夜の運転が多い方へ。
対向車のライトや街灯の見え方も、レンズ選びで大切なポイントです。ハロー・グレアの可能性と、手元の見やすさの両方を相談しましょう。
写真は生活場面のイメージで、術後の見え方を再現したものではありません。眼内レンズの交換は容易ではありません。価格が高いレンズほど、すべての方に合うわけでもありません。見え方の希望と検査結果を合わせて決めます。
手術費用の考え方。
多焦点レンズは「保険診療の手術費用 + レンズの追加費用」です。これを選定療養といいます。
片眼・3割負担の支払額例
手術費用の目安は1割 約1.6万円/2割 約3.2万円/3割 約4.8万円。診療内容や負担上限などにより変わります。
レンズの追加費用 片眼・税込
乱視用を選ぶと追加費用が変わります。両眼の場合、レンズの追加費用は2眼分です。選定療養は民間保険の先進医療特約の対象外です。医療費控除は条件により対象となる場合があります。
よくあるご質問。
どのレンズが一番いいですか?
一つのレンズが全員に最適ということはありません。たとえば読書やスマートフォンを重視する方と、夜間運転やパソコンを重視する方では候補が変わります。乱視や網膜・視神経の状態も検査し、希望する距離と見え方のバランスを一緒に考えます。費用だけで決めず、気になる点は遠慮なくお聞かせください。
多焦点にすれば眼鏡は不要ですか?
必ず不要になるわけではありません。多焦点レンズは、眼鏡を使う場面を減らすことを目指すレンズです。小さな文字、長時間の読書、暗い場所での細かな作業では老眼鏡が必要になる場合があります。どの距離をどの程度見やすくしたいかを先に決めておくと、術後の生活を想像しやすくなります。
両眼とも同じレンズにする必要がありますか?
基本的には、両眼での見え方のバランスを考えて同じレンズをお勧めしています。ただし、左右の目の状態や生活上の希望によって、異なるレンズを組み合わせる場合もあります。片眼だけの印象と両眼での見え方は異なるため、自己判断で組み合わせず、術前検査の結果を踏まえて相談しましょう。
高いレンズほどよく見えますか?
高いレンズほど、すべての方によく見えるわけではありません。3焦点は手元まで幅広く使いたい方の候補ですが、夜間の光の見え方をより重視する方にはEDOF型が合う場合もあります。同じ価格帯でも設計と得意な距離は異なります。診察では「普段のどの場面を優先するか」を具体的に伺ってご提案します。
乱視があっても選べますか?
現在の5種類には乱視用の価格設定があります。乱視が残ると、希望した距離の見え方が十分に得られない場合があるため、手術前に乱視の量や角膜の状態を調べます。乱視用レンズが適しているか、どの度数を選ぶかは検査結果から判断します。すべての乱視を完全に矯正できるわけではありません。
手術後すぐに見えますか?
早い方では翌日から見やすくなりますが、回復の速さには個人差があります。角膜のむくみなどがあると、視界が落ち着くまで数日かかることがあります。また、多焦点レンズの見え方や光の感じ方に慣れるまで、数週間から数か月かかる方もいます。術後の診察で経過を確認します。
手術中の痛みや、仕事への復帰は?
手術は主に点眼麻酔で行います。痛みの感じ方には個人差があり、必要に応じて追加の麻酔を検討します。手術後は眼帯を翌日に外し、軽い日常活動に戻れる場合があります。一方で、重い物を持つ仕事やほこりの多い場所での作業は、感染予防のため約1週間避ける案内です。仕事内容を伺い、復帰時期を個別にお伝えします。
後からレンズを変更できますか?
眼内レンズは長期間使うことを前提に選びます。交換は技術的に難しく、目に負担がかかる可能性もあるため、気軽に変更できるものではありません。手術前に、見え方の希望、眼鏡が必要になり得る場面、夜間の光の感じ方、費用を確認してください。迷っている場合は決定を急がず、診察でご相談ください。
迷っている段階から、
ご相談ください。
生活の中で重視したい距離と検査結果を踏まえ、レンズごとの違いをご説明します。
まずは「どんな場面を眼鏡なしで過ごしたいか」をお聞かせください。
